紅に染まる〜Lies or truth〜


龍神会内部で不穏な動きがある
それを探りながら
愛の服を手配して・・・


結局、ソファでウトウトした程度で朝を迎えた

ボンヤリした頭を覚ますためにシャワーを浴びて着替えを済ませた後で

ベッドルームの扉を開く


「・・・っ。」


上半身を起こして頭を抱えた愛


何も着ていないことに気づいてるはず
下手に反応しないと決めて声をかける


「起きたか」


「ごめん」


「いや、心配するな」


ベッドに腰掛けて用意した服を渡す


「着替え、用意したから」


「ありがと」


微笑む愛を抱きしめたい衝動に駆られるけれど

それを飲み込んで


「着替えたらおいで」


頭をフワリ撫でて
ベッドルームから出た


ルームサービスの朝食をとりながら
お風呂に入った話になり・・・
躊躇いなく俺が入れたと答えると
暫く宙をさまよった瞳から涙が溢れた


・・・クソっ


不自由しかしてこなかった愛に
俺は何をしてやれるだろう

抱き上げてソファに座ると
腕の中に閉じ込めた

俺の一生を愛のために使う
俺の愛情は愛のためだけにある

ただ・・・

愛には出来るだけ女としての幸せを感じてもらいたい

それなのに愛からの答えは


「私は一平しかいらない」
このまま死んでも良いと思える
重くて深い言葉だった


「俺もだ、愛」


「一平が心変わりしたら、そいつを殺す」


「命賭けてそれは‥ないと断言できる」


「じゃあこの話はこれでお終い」


「あぁ」



胸の辺りに温い想いが広がり
頬が緩みそうになるのを堪えた












side out









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