紅に染まる〜Lies or truth〜


鉄壁の要塞の中にある要の仕事部屋
指紋、静脈、虹彩・・・
生体でなければ
ありえないハイセキュリティの解除をして、そこへ入るといつもと同じ空気だった


「流石にココは無理か」


侵入形跡のないことに安堵して
クスッと鼻で笑うと
大きな椅子に腰掛けた

キーボードを叩き家中にあるカメラの画像を出す

表立って据付たカメラの画像は何の異変もない

けれど・・・

「私の目を騙そうなんて100万年早い」

数ミリにも満たない画像のズレを私が見落とす訳がない

防犯カメラの画像を差し替えるなんて・・・誰でも出来るか

クスッと鼻で笑った


大したセキュリティもかけずにいる
カメラ映像
これを書き換えるまでは想定内


「ま、触れてもここまで」


いつ撮られた画像なのか考えるより
裏に仕掛けられたカメラの画像を確認した

この要塞の中で死角になる場所はない
それは私の居住スペースでも同じ
プライバシーゼロの画像には


「・・・チッ」


留守宅に平然と入る三崎の姿が映っていた

この家中には父も知らない仕掛けが沢山ある

それは私がコツコツ作り上げた独自のもの


「許さない」


家中を動く三崎の画像を細かくまとめて兄の携帯へ転送した

すぐに震えだす携帯


「もしもし」

(他に何かわかるか)

「殺していい?」

(ダメだ愛、もう少し泳がせろ)


単に私の留守を狙った家宅捜索かと思ったのに
兄の‘もう少し’で真相が深いことを知った


「わかった」


口元が緩むのを抑えることなく
終話を押して・・・そのまま電源を落とした


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