紅に染まる〜Lies or truth〜
愛借



「荒太」


「ん?」


「私、三年は通信にするから」


「「え?」」


驚いた顔の二人が同時に声を上げた


「隠すのやめる」


田嶋に守られる高校生から
外に出て行く覚悟を決めた

佐和のために動いていた父への制裁に
田嶋組の取り潰しが断行された今

龍神会が動き始める

私の立場がどうなるのかは
大澤碧斗の組長襲名披露の場で通達があるだろう


「襲名披露出る覚悟できたか」


叔父の声かけに頷いてみせると
颯が背筋を伸ばした


「俺も」


「なに?」


「俺も通信にして愛の側にいる」


「は?」


「だ〜か〜ら〜」


私を護衛するために側にいる颯は
同じ行動をとる必要があるらしい


「お前如きが愛の役に立つのか?」


訝しげに見る叔父に被せるように


「喧嘩も弱い、頭も悪い」
そう口にして薄く笑うと


「愛!なんてこと言うんだ」


「それに・・・ウザい」


トドメを刺した

聞き終わるより先にお腹を抱えて笑いだした叔父と
頬を膨らませた颯を見ながら

釣られるように笑っている自分に気づいた


・・・可愛い犬


感情豊かな颯が側にいる所為で
毎度毎度調子が狂ってしまう

普段なら間違いなく切っているはず

それが・・・側にいることを許していること自体
案外颯に懐き懐かれているのかもしれない























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