鈍感ちゃんと意地悪くんの出会いの物語
学校へ一人急ごうと動かし始めた足を、ついうっかり止めてしまった。
今度は何を言い出すのか、ちょっと気になってしまった結果だ。

「今行ったら全校生徒と全教師が揃ってる体育館だろ?

滅茶苦茶目立ってしかも怒られて、かなぁり恥ずかしんじゃね?
ま、お前が行くなら俺は止めないけど?

俺はやめとこっかな、始業式終わったくらいに紛れることにするわ」

う、言われてみれば確かに……。

どうせ怒られるなら、そっちの方がはるかにマシだ。

完全に立ち止まったあたしに、意地悪な声がかかる。

「あれ? 行くんじゃないのか?」

「い、急いでまた転びそうになっても嫌だしっ!
安全に行くことにしたのっ」

「そうだよなぁ、安全第一だよなぁ。
じゃ、ゆっくり行くか」

顔は見なくても、ニヤニヤ笑っているのが声で分かった。

あたしたちは何だかんだと並んで歩きだした。
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