鈍感ちゃんと意地悪くんの出会いの物語
「ねぇ、瀬田く……」

「ストップ!」

「え、何が? 瀬田く……」

「可愛いおバカさんめっ! この天然めっ! さっき言ったばっかり!

はい、俺のこと、なんて呼ぶんだった?」

彼はじっとあたしを見つめている。
ちなみにテーブルの上で手を握られた。

こ、これは、彼の希望通りに呼ばないと終わらないパターン?

「せ、瀬田……っ!」

……恥ずかしい。

手を握られたまま俯くあたしに「よく出来ました」と、両手であたしの手を握っていた片手を離し、それをあたしの頭の上にぽんぽんと乗せた。

こーゆぅのも恥ずかしいんだけどな、ちっこい子供じゃあるまいし……。

もっとずっと小さいころ、お父さんがいたころ。
頭を撫でたり、おでこにキスしてくれたりしてくれたことを思い出した。

「なぁ、同じくらいの男に頭撫でられるのも、初めて?」
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