鈍感ちゃんと意地悪くんの出会いの物語
お母さんに、卒業式だから、とか、運動会だから、とか、そんな休みはない。

一時的にお店を閉めて観に来てくれたりするけど、本当に一時的なもの。
あたしの出番だけ観て、すぐにお店に戻る。

周囲の、ずっと家族がいてくれる友達を羨ましくなったことがないなんて言ったら嘘になる。
けど、だからって「どうしてお母さんはずっといてくれないの?」なんて思ったことはない。

お母さんは、あたしを育てるために、お父さんが残したこのお店を守るために、頑張ってるんだから。
チェーン店でもない、商店街に佇む一軒の小さな喫茶店。

生き残り、母子二人生活していくのは並大抵ではないんだ。
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