御曹司の恋の行方~地味な派遣秘書はご令嬢~
『コンコン』扉をノックする。

「はい」と落ち着いた男性の声。

「失礼致します」と遥は中に入る。

大きな窓からは、ベリーヒルズビレッジが一望できる。

「本日より、神宮寺副社長の秘書を務めさせていただきます西園遥と申します」

「神宮寺翔です。よろしく」と顔を上げ遥に視線を合わせる翔。

そして、翔は内心思う。想像していた感じと違い地味だ。

先程、重役達の秘書とも顔を合わせたのだが、みんな洗練された大人の女性だった。

まあ、仕事さえキッチリしてくれて、女を出さなければ容姿は関係ないのだが…

ただ、彼女の醸し出す雰囲気には、なぜか圧倒される。女性に対して初めて感じるこの感情が何なのかわからない。

翔から視線を外した。

< 12 / 154 >

この作品をシェア

pagetop