この先に日常は待っているのか
第1章 少女

4月6日


「おはよ〜、大和」

「おはよ。行くぞ」

今日から高校2年生になった2人が学校へ向かって歩き始める。


「眠い…………」

そう言いながら目を擦るのは、小田切 彩〈おだぎり あや〉。

気のおける友人とは仲良く話すものの、それ以外のクラスメイトとは必要最低限の会話しかせず、クラスではあまり目立たない方の人間だ。
早起きして整えた黒髪ボブが風に揺れる。


「はあ、誰だよ…、クラス発表があるから早く行こうて言った奴は。」

彩の隣でため息をつくのは、幼なじみで彩の隣の家に住む中井 大和〈なかい やまと〉。

剣道部に所属しており、次期主将と言われるほどの実力を持つ。
整った顔に、筋肉質な体、そして181cmという高身長。女子たちから告白されること数十回。
だがしかし、気のおける友人以外には塩対応であり、彼女の存在は一度もない。


「だって、新しいクラス楽しみなんだもん。それに、大和がいると女の子達が群がってゆっくりクラス表見てられないし…。」

「あんな奴らはほっときゃ良い話だ。」

「相変わらず女子には冷たいよね…。ただでさえ目つき悪いんだから、少しは優しく返事するくらいした方が良いんじゃない?」

「余計なお世話だよ。それより今日、卓球部は何時終わりなんだ?」

「始業式終わってお昼の後からだから…、確か5時までだったはず!多分ね!」

「自分の部活の終了時間ぐらいちゃんと把握しておけよ…。俺も5時終わりだから、いつもの駐輪場のとこな。」

「はーい。」


2人がいつも通り会話をしていると、後ろから誰かの声が聞こえてきた。


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