【短】何光年先の原石を

「それにね、全部が1等星みたいに輝けるわけじゃない。全部が1等星なら疲れてしまうよ。」

小さな光も必要なんだと言われて何だか納得した。
伯父の言葉が一つ一つストンと胸に落ちてくる。

「みんなが求める1等星よりも3等星4等星、時には6等星くらいの方がよほど心地よい時もある。」

デビュー作の光が強すぎてうまく書けなくなったと落ち込んだ。
下手になったんじゃないかと焦りを感じた。
しまいには、自分の実力じゃない偶然で運良く生み出せた作品だとさえ考えた。

だけど、その全てが早計だったと香織は思い知る。

「僕は君の描く世界が好きだ。だから、書くのを嫌いになっていないなら諦める理由を探さないで。」

作家にとってこれほど嬉しい言葉はない。
香織は今なら何だって書ける気がした。

作家は正解のない職業。
書き手が宇宙なら、生み出す星達には愛情と責任を持たなければならない。
いつか誰かに届く光だと信じて。

優しく笑う伯父に心からのありがとうを言った。
沢山売れるものじゃなくても良い、たとえ微かでも香織の空で確かに輝ける星を作ろうと初めて思えた。

「伯父さん、私先に帰る!」

駆け出した香織の背中はキラキラしてて伯父は“いってらっしゃい”とその背中に呟いた。


-fin-
< 9 / 9 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:0

この作品の感想を3つまで選択できます。

  • 処理中にエラーが発生したためひとこと感想を投票できません。
  • 投票する

この作家の他の作品

【短】白銀の世界

総文字数/1,043

恋愛(その他)14ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
見渡せば そこは辺り一面 銀世界___________________
【短】見えない虹

総文字数/1,385

その他4ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
僕は君の望む言葉をあげられない 君の才能と夢と悩みに嫉妬してるから それでも友人として 叶わぬ想いを持ちながら 僕は君の一番の理解者でありたいと願う *・゜゚・*:.。..。.:*・*:.。. .。.:*・゜゚・* 2017.08.09 執筆
【短】JELLYFISH

総文字数/2,507

恋愛(純愛)6ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
JELLYFISH(クラゲ) いつも流れに身を任せてて 泣きもせず笑いもせず 忘れた頃に毒を刺しては また同じように流されて行って… もう心が疲れたんだ だから私は自由になりたくて 心を何かにとらわれたくなくて クラゲになりたいと願ったんだ…________

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop