恋愛経験ゼロだったのに…。異世界では、恋愛する事が絶対条件…!?
「ありがとうございました!バレンタインの限定品、間に合ってよかったです。また、次のシーズンもお待ちしておりますね。」


笑顔で、店員さんから、ケーキの箱を差し出され、佳来は「また、来ます。」と笑顔でその箱を受け取った。


サクサクのタルト生地に、クリームチーズとラズベリークリームに、たっぷりのフルーツがのったタルト。今日、2月14日しか発売していない限定15個。
高級なフルーツを使ってるので、なかなかの値段だが、
午前中に仕事を終えて、このタルトの為に、午後休をとって、急いでケーキ屋に来たのだ。

(間に合ってよかった〜)

季節のイベントごとに、月に一回は必ず、お気に入りのケーキ屋によって、買うのが楽しみだった。

店を出て、前からカップル2人が手を繋ぎながら、仲良く歩いてくる。

(今年も恋愛せずに、この季節を迎えた…。)

すれ違いさまに、そんな事を思った。

中学の時も、高校の時も、周りに何人か、付き合い始めた子達はいたが、今まで、なかなか好きになる人はできず。

好きな人に、告白した事も、告白された事もない
チョコを作って、好きな人に渡すという行為すら経験ない。

バレンタインのイベントは、いつしか自分が美味しいケーキや、チョコを食べる日。

(大人になれば、自然と好きになるとおもってたんだけどね、、。まぁ、別にこの先も恋愛とか、しなくてもいいかなぁ。)

(それより、甘酸っぱくて、サクサクのタルトをはやく口いっぱいに頬張りたい!)

今はその事しか頭になく、足早に家へと急いだ。
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