離婚前提マリアージュ~エリート副社長と育てる愛の花~
事故の傷痕

~雅樹side~

辛いリハビリにも耐え、ようやく梓と念願の挙式を行った。

なのに、事故以前の俺には戻れなかった。

伊集院先生から言われた『高次脳機能障害』
二年間、植物状態だった俺の脳は軽度ではあるが障害を負ってしまった。

見た目には分からないから、仕事に復帰した俺の異変に皆がざわついていた。

障害の影響で、無理も出来ないし、今の俺には副社長の椅子が重荷でしかなかった。
梓は何も言わず、今の俺を受け入れて優しく包んでくれる。

時々、その彼女の優しさがプレッシャーとなり、重く圧し掛かり、辛く感じる時があった。

彼女の知る俺はバリバリと仕事が出来るエリートの副社長。

今の俺と言えば、カラダの体調によって仕事をセーブし、周囲に気遣われる腫れ物。

妻子の命を護り、そのまま逝ってしまった方が良かったのだろうか?

味覚も失われ、色の識別も難しくなっている。

 俺はどうなってしまうのか…不安で胸が押し潰されそうだった。
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