離婚前提マリアージュ~エリート副社長と育てる愛の花~
開店前。

一階の多目的スペースとして儲けられたフロアに従業員一同を集めて朝礼が始まった。
特設のステージには『高屋』の社長と雅樹さん、『エルネ』の相良社長が上がって挨拶。

私と世良さんはステージの脇で静かに挨拶を見つめる。

社長の挨拶が終わり、雅樹さんの挨拶になった。

難しい商談や大掛かりなプロジェクトの数々…どんな困難にも果敢に挑み続ける雅樹さん。
老舗百貨店『高屋』も時代と共に変革しなければいけない。
そう彼は社長や上層部を説得し、ようやく『高屋エルネ』のオープンに辿り着いた。

私はもっとちゃんと彼の威風堂々と挨拶する姿を見たいのに涙が邪魔をした。

「ハンカチ」

世良さんは涙ぐむ私を見て、ハンカチを差し出す。

「ハンカチなら有ります…」

私は持っていたハンカチで涙を拭いた。

彼が挨拶を終えると割れんばかりの拍手喝采が湧き起こる。

皆は彼の奮闘ぶりを心から讃えた。
私も涙を頬を伝わせながら拍手する。

こんな立派な人が私の旦那様だなんて未だに信じられない。
でも、彼は私の夫。

ずっとずっと彼のそばに居たい。

彼を愛し続けたい。

心の底からそう思い、彼に対する想いでキモチは一杯になった。



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