離婚前提マリアージュ~エリート副社長と育てる愛の花～

目を開けると見知らぬシーリングライトの光が瞳の中に飛び込んだ。

「目を覚ましましたね…雅樹さん」

俺の額に乗っている手は梓の手。あの女の手じゃない。
今の俺が求めてる愛する彼女の手。

「熱も下がったようですね…」

「此処は何処だ？」

「『東亜医科大付属病院分室』の病室です」

「俺はどうしてここで寝てるんだ？」

「雅樹さん…昨日バックヤードで倒れたの…憶えてないんですか？」

「バックヤード？」

俺は記憶の引き出しを片っ端から開き、頭の中で巡らした。

「そうだ・・・そう言えば…俺は…君一人で夜通し、付き添ってくれたのか？」

俺は梓に支えられ、カラダを起こした。
右手には点滴針が刺さっていた。

「いえ、社長夫人も朝方まで居ましたよ…」

「はぁ？君はあの女と一緒に居たのか？何か変なコト吹き込まれなかったか？」

「別に…でも、雅樹さんって…夜中によく熱を出していたようですね…」

「まぁな・・・」