黙って俺に守られてろ~クールな彼は過剰な庇護欲を隠しきれない~
 麻薬取締官は、犯罪者や反社会勢力から逆恨みや嫌がらせをうける可能性も高いからだ。

「あの、ほら。私はまだ下っ端だから、いろいろ」

 作り笑いをして誤魔化すと、「まぁ、入社二年目なんてまだまだ下っ端だよね」と恵もため息をつく。


 私と同じく薬学部を卒業した彼女は、調剤薬局で薬剤師をしていた。

「恵もお仕事大変?」
「毎日先輩たちにしごかれて、ストレスが溜まって大変だよ。どこかに疲れを癒してくれる素敵な男の人がいないかなぁ」
「え、この前彼氏ができたって言ってなかったっけ?」

 恵みの発言に、今度は私が目を丸くする。

『彼氏ができた』とハートがいっぱいのメッセージが届いてから、まだ二か月もたっていないなずなのに。

「もう別れちゃった。顔はいいんだけど、付き合ってみたら頼りなかったんだもん」

 あっけらかんと言われ、「恵はすごいね」と感心してしまう。

< 47 / 219 >

この作品をシェア

pagetop