バーテンは甘すぎた


〜♪


「いらっしゃいませー」



このコンビニで働き始めて約3年。ほぼ毎日何十回と耳にする来店を知らせる音楽には、条件反射かのように体が反応するようになっていた。



あ…来た



17:30、毎日必ずこの時間に来るお客さんがいる。



白のシャツに黒のスラックス、革靴というシンプルな組み合わせだが、スラッとした長身でさわやかな雰囲気の彼はとてつもなくオシャレに見える。




いつもぐるっと店内を回って、お茶とお弁当を手に取ってレジに来る。



『お願いします』



「お預かりします」



マニュアルに沿った接客をして、商品を袋に入れて渡す。



『ありがとうございます』



彼はそれを受け取ると、少し笑ってお礼を言って店を出て行く。



「ありがとうございましたー」



〜♪



「いらっしゃいませ〜」



今から忙しくなる時間帯でうんざりしながら今日の晩ご飯のことをぼんやり考えていた。


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