ビビディ バビディ ブー! 幸せになーれ!〜この愛があなたに届きますように~
こめかみを押さえ彼女から思わず目をそらせた時、その声は背後から聞こえた。

「あれ、朋葉ちゃん?
どうしたのこんなところで。
もしかして大知に会いに来た?」

聞き覚えのある声に、声の主がすぐに誰だかわかりホッとする。

「相楽さん!」

強張った顔のままふりむいた私に、安心させるように笑顔を見せた相楽さんは、すぐに厳しい顔を受付の女性に向け事務的に話だした。

「あぁ仲野さんお疲れ様です。副社長への連絡は不要です。私が副社長に直接連絡をするので大丈夫です」

腕時計をちらりと見た相楽さんは、胸ポケットから携帯を取り出すと、画面をタップしてすぐに呼び出しに応じた相手と話しだした。

「相楽てす、お疲れ様です。今、社に戻りました。
受付に小谷さんがおみえです。…はい、えぇ、わかりました。はい、お連れします」

短い会話を終えて私にまた柔らかな笑顔を向けた相楽さんは

「副社長室に案内します。
今ちょうど会議が終わったのですぐに副社長室にもどるそうです。
さぁ、行きましょう。ついてきてください」

受付に軽く会釈した相楽さんは、そのままエレベーターに乗り込み、私も同じように会釈して彼女から逃げるように相楽さんを追いかけた。


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