ビビディ バビディ ブー! 幸せになーれ!〜この愛があなたに届きますように~
意識しすぎて、この手で触れたくて俺のものにしたくてどうしようもない。

ここに。


今すぐこの部屋に連れ込んで、押し倒したい欲求が俺の頭の中を支配して、わずかな理性がストップをかけた。

欲望にまみれたふしだらな思考が顔にでないように、わざと無表情を取り繕い、彼女を視界にいれないようあえて素っ気なくたち振る舞う。


これ以上側にいたら、今日の俺は何をするかわからない。

そう思って今日は早々に部屋に引き上げた。


どうにかこの契約結婚を承諾させ、俺たちは今のところ仮ではあるが夫婦になったのだ。

まずは他の男が手を出せないようにする事には成功した。

あとは一刻も早く俺を好きにさせればいい。

いきなり溺愛なんてしてしまえば、朋葉は警戒してしまうだろう。

そう思ってあえて帰りの車内で契約結婚らしく、俺の食事や見回りの世話は必要ない、一緒に暮らすが朋葉は今まで通りの生活をここで送ってくれればいいと提案した。

いや、実際はそんな生活なんて俺はこれっぽっちも望んでいない。

毎朝 "おはよう" のキスで目を覚まし、一緒にモーニングコーヒーを飲んで "いってらっしゃい" のキスで家をでる。

"お帰りなさい" のキスで出迎えられ、彼女の手料理でお腹を満たし…一緒に風呂に入ってそれから…たっぷりこの部屋で彼女を愛し、身も心も満たして一緒に眠りにつく。

これが俺の願望だ。

今、俺のこの願望がばれたら、そんなつもりの朋葉は、身の危険を感じて直ぐに家を出ていってしまうだろう。

だから今はぐっと我慢して、俺の邪な欲望が顔に絶対に出ないようにして、なるべく紳士に振る舞いクールを装い、少しずつ小出しに彼女を溺愛していくのだ。

そして必ず俺を好きだと言わせてみせる。


泰造じぃさん、頼むから彼女が俺に惚れるまでくたばるなよ。


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