誰にも教えてアゲナイ!
ついつい目線を反らしてしまう私。

何でだろう?心の奥がズキンと痛む。

「気になる?」

「別に気にならないよ」

「キスしてくれたら教えてあげるっ」

この期に及んで何を言うかと思ったら馬鹿な事を……!



「気にならないてばっ!」

「そう…だったら…」



近寄って来たと思ったら、冷たくなった手の平を私の頬に宛てて、おでこにチュッてしてきた。



「な、何するのよっ」

「隙がある百合子が悪いんだよっ。あ、口が良かった?」



突然の事に戸惑い、おでこに手を宛てて固まり気味な私。

目の前でケラケラと笑っているエロガキ。

完っ全にペースに巻き込まれてるわ。


「このっ、エロガキ!」

「エロガキ?…いーけど、別に。百合子って意外に純粋だねっ」

「意外には余計だっ!!」

純粋ではないと思うけど、……だって下心があったから部屋に入れた訳だし。

年下だからって油断していた私。

さすがにこうも不意打ちばっかりだとビックリもするって……。



「さっきのメモは、妹だよ。里沙(りさ)って言うんだ。今日は下から二番目の妹の誕生日だったから、買い出しに付き合っただけ」

「買い出し?」

「うん…詳しい事は聞かないで。聞いたら…」

「聞いたら?」



「今度は口にするからね」


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