誰にも教えてアゲナイ!
彼の腕に戻ったら、すぐに泣き止んだ。

「あらあら、マリアは諒にベッタリね」

彼のお母さんが笑って言うと里沙ちゃんが、

「ヤキモチじゃない?」

と笑った。

小さくたって、女は女。

大好きな人をとられまいと必死だよね。

「マリアちゃん、お姉ちゃんと龍君で遊ぼう?」

マリアちゃんがチラチラと私を見ているので、声をかけたら、彼にしがみついて、またもや大泣き。

相当…嫌われたみたいです。



「あらあら、マリアがお姑さんみたいね。マリアが居たら、結婚は無理ね…」



うんうん、マリアちゃんは最強のお姑さんみたいだわ。

……って、結婚って、そこまで話は進んでないってば!



「百合子さん、いつでも婿に差し上げますから、諒をどうぞ」



後ろから彼のお父さんの声がしたから、ドキッとした。

いつの間にか帰って来て、いつから話を聞いていたのだろう。

「諒は掃除、洗濯、料理、全部出来ますから、是非、こき使って下さい」

確かに家事全般出来る男は理想ではあるけど…。

「あらっ、百合子さんがお嫁に来てくれるのよね?」

「それもかなり捨て難いな…。でも、諒が居るとマリアが俺に懐かないから駄目、駄目っ」

「それは貴方がいけないのよっ」

勝手に口論を始めた御両親。



あのぉ…まだ付き合ってもいなし、結婚とか考えてませんが…。

面白い御両親ですね、諒。
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