誰にも教えてアゲナイ!
しばらく怪獣やミニカーなどで遊んで龍君が眠くなったらしく、次のデートの約束をして布団に入った。



「龍は遊びに夢中でケーキを食べなかったわね…ふふっ、百合子さん、龍に好かれたら大変ね」



龍君が寝た後、彼のお母さんがケーキを切りながら笑った。

マリアちゃんは相変わらず、彼に抱っこで離れない。

「汚されなかった?龍と遊ぶと部屋の中なのに、怪獣ごっこやクレヨンやらで汚れるから」

シャツとジーンズの意味は、そういう事か……!

「はい、紅茶…」

ポットで入れたての紅茶のカップをカシャンッとふて腐れながら置く彼。私の目の前にダージリンの良い香りが漂う。

機嫌悪いの?

樹里ちゃんと里沙ちゃんがケーキの大きさで揉めている中、彼のお父さんが話し出した。



「その紅茶はね、スリランカの契約農場のものなんだ」

「そうなの、パパったらね、家族置いて、年に数回、契約農場を調査したりしてるのよ。まぁ、それがパパが任されている会社の仕事なんだけど…」



両親はとても仲が良いらしく、『ねーっ♪』って手を合わせている。

二人の周りにハートが飛んでそうなラブラブ攻撃。



「それで行けば帰って来ないし、どこで何してんだかね。しかも、帰って来たら子供増えてるしっ。もう増やすなよなっ!」

「あら、諒は家族増えるの嫌なの?また7月に生まれるのにねっ」



カラーンッ…。

樹里ちゃんと里沙ちゃんが床にフォークを落とした。

転がるフォークと、あんぐりと開いた口。
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