君は私の唯一の光
「まさか、あの時から…………?」


私たちがお見舞いに行ったのは、洸夜が入院してから約1週間後。その間に、洸夜は乃々花って人を好きになったの?



「あの時?」



まだ近くにいた花梨が聞いてくる。この地獄耳が。



「なんでもない。」



きっと、思い違い。そう思わないと、自分が惨めすぎた。大丈夫、今のは勝手な私の想像。



まだ、男子と(たわむ)れている洸夜を見る。その笑顔は…………大好きだったはずのサッカーでしか見せない笑顔だった。





あの笑顔を間近で見れていたのは、女子で私だけだった。洸夜の一番近くで、サッカーでもクラス内でも“気が合う女友達”のポジションはずっとキープできていた。でも、次の一線が越えられなかった。『彼女』という一線が。



「告白したら、もっと楽だったかな……?」



今度は誰の耳にも入らないほど、か細い声だった。『後悔先に立たず』って、よく言ったよね。今の私には、この言葉がピッタリ。




洸夜には、ずっと女の影がなかったから、安心してたのかな?


それとも、どっかで目を(そむ)けてた?




または……少しでも自分に可能性があるかもって期待してた?






いろんな事が頭に浮かんでは消えた。



ただ、共通するのは…………『後悔』という2文字だけだった。











部活の時には、この学園内に知らない人はいないってほど、洸夜に彼女ができたっていうのは、広まっていた。



おかげで、いつもならとっくに練習を始めてるこの時間も、誰一人、ストレッチすら終わっていない。




洸夜がみんなに囲まれて談笑している間、私は、洸夜に一目惚れした日の事を思い出していた。
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