君は私の唯一の光
「神山、そろそろスタンバイして〜」




私たちがいる空間の外から、声がする。





「ああ、今行く。」





キリッと返す洸夜は、もう役に入ってしまったのか、真剣な目をしている。




かっこいい……って、本当に見惚れちゃう。惚れ直しちゃうよね、こんなにかっこいい洸夜のことなんて。






「洸夜、頑張ってね!」





「うん、頑張るな。前の方に、俺の青いタオルが掛けてある席があるから、乃々花はそこに座って。」





「わかった!」





そうして、洸夜はステージに向かった。そのカッコよくて頼もしい後ろ姿に、無意識のうちに目を奪われていたのは、誰にも秘密。







そんな大変なこともいろいろあったけど、今日のメインイベント・洸夜の劇は、たくさんの歓声に包まれて、成功した。





洸夜に教えてもらった席は、前から5列目の真ん中。すごく見やすい場所だった。






何度も、洸夜と目があって恥ずかしくなるのと一緒に、洸夜の美しさが目に焼き付いて、洸夜が()けてからもフラッシュバックして、大変だった。






「かっこよすぎるでしょ………」





呟いた言葉は、誰にも届かない。でも、心中で(くすぶ)る洸夜への想いは、これ以上ないくらいにときめいて、膨れ上がった。







ぽわぽわと火照(ほて)る顔を抑え、洸夜はやっぱり“危険くん”だと、再確認した。





あんなに、カッコよくて優しい最高の彼氏、洸夜以外には絶対いない!





自慢の彼氏様は、今日も輝かしくおられます。
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