身ごもり婚約破棄しましたが、エリート弁護士に赤ちゃんごと愛されています
本日も二十一時近くに帰宅となった。玄関を開けると、起きていたまりあが出迎えてくれる。

「おかえいー!」
「あら、まりあ! もうねんねでしょ」
「ねんねしゅるよー」

まりあは言いながらぴょんぴょん跳ねまわっている。これは全然寝る気がないな。

「陽鞠、お帰り。今日は餃子だよ。明日休みだからいいだろ」

修二は今日も爽やかに頼もしくパパ業に精を出している。昨夜のソファドンなんかなかったみたい。
気にされていても困るし、忘れてほしいけれど、あまりにあっさりしすぎで、気にしている私が馬鹿みたいに思えてきた。

「ありがと。先にまりあを寝かせちゃってからにするわ」

私は手洗いだけして、寝室にまりあを連れていく。明日はまりあとふたりでお休みだからいいけど、あまり遅寝の習慣をつけたくない。
しかし、疲れもあったのだろう。まりあに添い寝しながら、気づけば自分が眠ってしまっていた。
はっと気づくとすでに日付が変わりそうな時刻だ。まりあはすうすう寝息をたてている。どうしよう、修二が夕飯を準備していたのに。
慌てて一階に降りると、修二はリビングでPCを開き仕事をしていた。

「ごめん! 一緒に寝ちゃってた」
「そうかなあって思ってた。わかるよ。子どもの寝息って、なんか催眠作用があるよな」

修二はまったく気にしていない様子だ。ないがしろにしちゃったのに、ものすごく余裕のある対応をされ、恐縮してしまう。
< 86 / 186 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop