子連れシンデレラ(2)~スパダリ社長の独占欲は極上の愛~
私が一人で食べていると「此処いいかしら?」
と私の二番目に苦手な宿泊部のチーフを務める副社長の長女・藤代尚(フジシロナオ)さんが前に座って来た。

「藤代チーフもお昼ですか?」

「えぇ」

澪さんとは歳も近いし、気が合うけど。
副社長と同じで気の強そうな尚さんとはどうしても馬が合わなかった。
元エンペラー航空のCAとして働いていた尚さん。
英語とフランス語、イタリア語、中国語が堪能で、フロントでは、ホテルの顔として立っていた。

「昨日…見すぼらしい姿の女性がコンシェルジュデスクに来て…桜木チーフが驚いていたわよ…貴方の母親だって言うから…もっと驚いた…」

「申し訳ありません…」

「貴方もこれで分かったでしょ?」

「えっ?」

「筒見家に相応しくない嫁だって…柊也は貴方にベタ惚れみたいだけど…私達は貴方を歓迎してないわよ…」

尚さんは周囲に聞こえるように大声で言う。

訊いた従業員達は私を見てクスクス笑う。

「お姉様…言い過ぎですよ…」




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