ズルくてもいいから抱きしめて。

天城の場合

姫乃と一緒に住もうと思ったのは、決して嫉妬の勢いとかではなかった。

以前からサラッと言ってはいたが、なかなか本気にしてもらえず、どう切り出そうかと悩んでいた。

そんな時、姫乃の元カレである“shin”の写真集を出す話が進み、俺は嫉妬で狂いそうだった。

2人は想い合ったまま別れた。

姫乃はずっとその気持ちを引きずっていて、俺と付き合う少し前まで笹山さんのことを想い泣いていた。

笹山さんは才能があり、人柄も良く、それでいてイケメンだ。

大学生だった頃の姫乃が、本気で惚れたのも頷ける。

音信不通になったのは、姫乃を想ってのこと。

2人が仕事で関わるようになれば、また気持ちが再燃してしまうかもしれない。

以前の俺なら“去るもの追わず”で適当に流してきたけれど、姫乃は、、、姫乃だけは手放したくない。

“一緒に住みたい”と思えた女は、姫乃が初めてだった。
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