今宵、キミが砕け散る


 「嶺緒、上がったよ〜」


 リビングに行くと、ソファで嶺緒が寝ていた。


 今日、忙しかったからなぁ。そんなことを思いながら近くにあった掛け布団を持ってきて、嶺緒にかけてやる。


 まつげ長っ……。


 嶺緒の顔をこうやってよく見ることはあまりなくて、ついついじっと見てしまう。


 「ん、宵……?」


 「うん。お風呂上がったよ」


 「ふぁ……。うーん、わかった」


 のっそり起き上がる嶺緒が掛け布団に気付いて、うっすらと口元に笑みを浮かべ私の頭を撫でた。
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