今宵、キミが砕け散る



 「えーっと……。ごめんね?」



 素直に謝ると、佐城に頭を撫でられる。



 「いーけどさぁ。もう俺を巻き込まないでねぇ……」


 ……ごめん、それは多分無理だ。今回で、意外にも佐城が頼もしいことを知ってしまったから、これからは、ブラックな美苑が出現したとき、佐城の方へと逃げると思う。



 「琴瀬さん。あの顔、もうしないでくださいね」



 念を押してくる美苑を怒らせないように「わかったよ」と返事をした。



 「あの顔って〜?」


 話に食いついた加賀美が、興味津々に聞いてくる。


 「顔面凶器です」


 「……ん?」


 「はぁ……。ホントに目に毒だ」



 頭にはてなマークをいくつも浮かべている加賀美に、美苑はそれ以上教える気はないようだった。


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