2番手の俺がキミのヒーローになる物語
「ワンチャンあるかもしれない」
「...は?」
いきなりの俺の言葉に新は素っ頓狂な声を出す。
「奈緒を振り向かせられるかもしれない」
弁当を食べながらスマホをいじる新。その手を止めないまま俺の話を聞いている。
「この前奈緒ちゃん先輩と出掛けたんじゃなかったっけ?」
「うん」
「だったら2人近づいてるってことじゃん。蓮都なら自信なくしてそうなのに何があったんだよ」
「それは...」
改めて奈緒に抱きつかれたこととかを思い出すと恥ずかしさが込上げてくる。
中々話さない俺に新はふぅと息を吐いた。
「まぁいいや。蓮都が振り向かせたいなら頑張れば良いんじゃね?」
スマホを置いて俺を真っ直ぐ見て言う新。心から言わなければいけないことは真っ直ぐ人の目を見て言うところが新の良さだった。
「うん、ありがと」
「蓮都の優しい所は良い所だけど、全部人に譲って自分は引き下がろうとするのは悪いことだからな。肝に銘じとけよ」
心当たりがありすぎる言葉がグサっとささる。
「おう」
それだけ返事をして、俺は頑張ってみようと心に決めた。
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