シニアトポスト




春野くんへ



この手紙がちゃんと春野くんのところに届いてるといいなーって思いながら書いています。

言いたいことがたくさんあったから手紙を書くことを決めたんだけど、彼氏に手紙を書くなんて初めてで緊張してるから、変な文章になってても笑わないでね。



まず、春野くん。きみは本当にお人好しだね。本当、バカなのかと思っちゃうくらいにお人好し。卒業式の日に子供助けて自分が死んじゃうなんてさ、本当、春野くんらしいけど。


春野くんとの出会いは、今思えばかなりふしだらだったよね。

私、あの日は元カレに振られてやけになってて、飲みすぎちゃったんだっけ。
朝起きたら知り合ったばっかりの男の人の部屋で寝てたから何事かと思っちゃった。

けど、あの日春野くんが私を泊めてくれたから、きみと恋をすることができたんだと思う。ね、そう思うとけっこういい思い出じゃない?まあ、順序は間違えちゃったかもしれないけど。



春野くんと付き合ってるとき、一度も過去に付き合った彼氏のことなんて微塵も思い出さなかったのにさ、きみが死んでから付き合った人とキスしてもセックスしても、春野くんの顔ばっかり浮かぶんだ。


あ、今、もしかして怒ってる?春野くんは口に出さないだけで、本当は私のこと片時も話したくないって思ってるんだったよね。


でも大丈夫。私、したいって思うの春野くんだけなの。
春野くんとぎゅーして寝たいよ。ほんと、恋しくて死んじゃいそう。


春野くんがいなくなってから、生きた心地がしなかった。

どうして死んじゃったのって、約束だってたくさんしてたのに、春野くんの嘘つきって、もういないきみを責めたこともたくさんあるよ。あの子供を助けなければまだ生きてたのにって最低なことだって何度も思った。



けど、後先考えないで人のことばっかり考えちゃうのは、きみの良いところだから。結局そんな春野くんをすきになっちゃったんだから仕方ないよね。


私はまだこの世界で生きてやりたいことがたくさんあるからきみのところには行けないけど、今よりもっと年を取っておばあちゃんになった私が現れたら、その時はたくさんきみの声で「藍」って呼んで、いっぱいぎゅってしてね。


そっちの世界、死んだ時から年取らないとかないよね?私がすっごいおばあちゃんになってて春野くんが22歳のままとか絶対許さないからね!



このままだと長くなりそうだからここらへんでやめておこうかな。何言ってるかわかんなくなってきちゃったし、私の手も疲れてきちゃったから(笑)



また私と会う時まで私のこと忘れないで。
私のこと、ちゃんと見ててね。


春野くんがいない世界でも私、頑張るから。


生きてる間に春野くんの生まれ変わりに出会えたら付き合うけど、それまではきみの彼女のままでいてもいいかな。私はわがままだから、春野くんしか全部可愛いって受け止めてくれないんだからね!



それじゃあ、また。
千颯くん、大好きです。





千颯くんが大好きな平尾 藍(ひらお あい)より


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