造園家は御曹司に求婚される2
「柚子、久しぶり」

驚くあたしの耳元で囁かれる。この声はあの人だ……。

「財前さん、離してください!」

あたしがそう言うと、パッと手が離される。あたしが振り向けば嬉しそうにニコニコ笑う財前龍樹(ざいぜんたつき)さんがいた。

「財前さん、来ていたんですか!」

おじいちゃんとお父さんもニコニコ笑う。財前さんはどうやら仕事をよく依頼してくれる人らしい。あたしはたまたま行ったことはないけど。

「ここの社長さんと取引することになりましてね、家に招かれたんですよ」

柚子に会えたのは意外だったな、と財前さんはあたしを見つめる。恥ずかしい……。

あたしと龍樹さんは一応お付き合いをしている関係だ。合コンで出会い、そのまま一夜を過ごしてしまったため。財前さんはあたしを本気で好きみたいだけど……。

「あたしの気持ちって一体何なんだろう……」

財前さんに会えて驚き、胸がギュッと締め付けられる感覚がする。これが恋ってやつなのかな?
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