幸せアプリ
「委員長は?マナミは?」



エミはニヤリ、と笑った。

私の耳元で囁いた。



「"河合エミは、死んだの。
そして、私が河合エミになった。
理想の顔も身体も、皆私だけのモノ"」





本当のエミが死んだ?




「アミ、エミと話したいから教室戻ってて。
お願い」



私のーー言葉にアミは首を傾げながらも教室へ入っていく。





「なんで、エミになりたいなんてーー。
かわいくなりたい、スタイルよくなりたいでいいじゃん!

なんで、エミに恨みでもあったの!!?」




私の顔はきっと怒っていた。

マナミはニヤリと笑った。


「あんな女大嫌い。
いつも注目されて周りに友達いて、欲しい物はなんでも手に入る。
それはエミが綺麗だからよ。


だから、エミから全てを奪ってやりたかった!!」



馬鹿らしい。


マナミの考えが馬鹿らしい。

「なんで、努力しないの?」





「は?」



マナミは心底分からない顔をした。


「エミはいつもスタイルを気にして、食生活に気を使っていたし、顔も生まれつきかもだけど、ニキビ1つでも早寝しなきゃって寝る努力して、頑張ってた。


友達が多いのは、エミが明るくて誰よりも優しいからだよ。

マナミは何か1つ"努力"したの?



アプリで願って1つの命が消えた。



マナミがエミになって人生幸せってなっても、現実にいたマナミも居なくなったんだよ。


マナミを愛してくれた"家族"は、どうなるの?



バイバイ、マナミ」




マナミを大切に想ってくれた"家族"。



変わってしまった今、どうなってしまったのか。


後ろを振り返ったマナミは、
呆然と立ち尽くしていた。



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