ブエノスアイレスに咲く花

外に出て図書館に向かう並木道の途中、
2回連続でくしゃみがでたけれど、
それは花粉によるものではなくて、
【人の噂】によるものなんじゃないかと僕は思った。

図書館に着いて僕は学生証を財布から出して
出入り口のドアにつけられた端末にそれを通し、
語学書の並ぶ棚を目指した。

あまり行くことのない外国文学や、
歴史書の並ぶ棚を通り過ぎながら、
これからの人生で僕は、
あとどれだけの本を読むことができるのかを考えた。

大学に入りたての頃、
必修科目の教授が、
自分の読みたい本をじっくりと読める時間は、
人生において大学2年までだと言ってた。

3年になればSPIといった就職関連本、
4年になれば卒業研究テーマに沿った参考文献、
社会に出れば日々の生活に終われ、
通勤時間と睡眠前の時間と
ごく限られたものになる、と。

ただ僕は、大学院への進学という、
半ば執行猶予のような時間に甘えている気持ちもあった。
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