ブエノスアイレスに咲く花

「私の救世主はこの時期、駅前にたくさんいるから」

そう言って更にバッグから
たくさんのポケットティッシュをだすと、
それには消費者金融などの広告が挟まっていた。

彼女はそれをすぐにしまい、「じゃ」と言った。

僕が「なるほど、アディオス」
と答えると、彼女は振り返るのをやめて、

「さっきのは彼女?」と言った。

僕が意味を分からずに黙っていると、
彼女は「学食の」と言った。

そして僕は、席を譲り受けた3人のうちの、
一人のバッグの色を思い出して、

「いや」と答えた。
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