ブエノスアイレスに咲く花

「相沢の興味なんてものは、
 とても刹那的で、毎回特に執着なんてないんだ
 その分雑学は豊富で、話には飽きないけどね」

僕はメンソールに火をつけながら言った。

「おまえ、刹那の連続が永遠なんだ、
 執着してたら、永遠が滞るだろ」

相沢が言うと奈津美は、

「えいえんが、とどこおる」
と言葉を咀嚼するようにつぶやくと声を弾ませた。

「哲学!」


「仲が、いいみたいですね。」

そう言って相沢の手から
サボテンを取り上げると
女性の表情が少し硬くなった。

「このサボテンには、
 古くから農園をしていた私の家族に続く
 言い伝えがあります。
 私はこれを欲しがる人に、
 母からお願いを預かってるんです。」


僕は、メンソールを大きく吸い込んだ。
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