誓いのstatice



途方に暮れながら歩いていた私は
『statice』の前にいた



店にはまだ明かりがついている
窓越しにマスターと
絵里さんの姿があった




話している内容はなにも聞こえないけど
二人は今までに見たことのないくらい
真剣な顔をしている



「あッ」



絵里さんがマスターの首に手を回し
顔を近づけてキスをしている姿が
私の目に映りこむ





マスターはそのまま絵里さんを
押し倒している





私は見ていられなくなり
後ずさりをしてしまった



ガタンッ


後ろにあったクリスマスツリーを
蹴ってしまった



「あっ……」
(マスターにも気付かれたかも…どぅしよう…)



もぅ一度店の中を見渡すと
マスターとばっちりと目が合ってしまった




「……ッ」



私はその場から
逃げる様に全力で走り出す




「麻耶ちゃん…!」



私を呼び止めるマスターの声が聞こえたけど
今はここに居たくない



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