こいつ、俺の嫁。ーAnother my wife storyー
「……へぇ、スマホ持ってないの嘘だったんだ」
「……っ!?」
夜の街は騒がしくて誰が何の話をしてるかなんて分からないのに、この言葉はやけにハッキリと聞こえた。
恐る恐る振り返ると口元は笑ってるけど目が笑ってない、合コンに遅れてきたあいつがいた。
やってしまった。
一番真っ先にカラオケボックスから出てコンビニに寄っていたから絶対もう周りにはあのメンツはいないと思ってたのに。
しかもコンビニの壁に寄りかかってるってことは、待ち伏せしてた!?
『ちょっと未来!?聞いて……』
体が危機を感じて反射的に澪との通話を切った。
切り抜けられたと思ってたのに失敗したことでパニックになって何も考えられない。
とりあえず思いつくのは…
「こ、これあげるから内緒にしてて!」
「あ、おい!」
コンビニで買ったお菓子とカフェオレの入ったレジ袋を体がぶつかる勢いで渡して私は全速力で走った。