こいつ、俺の嫁。ーAnother my wife storyー
試合開始の合図で我に返る。
相手サーブで試合が始まった。
原高のリベロが相手のサーブを受け止める。
そのボールに合わせて3人がネット目指して走る。
あいつは真ん中にいて、右の選手と目を合わせた。
それを見た相手は右側へ寄ってブロックを飛ぶ。
でも奴は体を反らして左側へとボールをあげた。
ボールは綺麗に弧を描いて左側にいた選手のジャンプしてスパイクの打ちやすい場所へといき、相手コートへとボールが勢いよく落ちる。
あまりに綺麗に決まりすぎて一瞬沈黙になって、すぐに原高の歓声があがった。
「尋人さんすごい!さすが高校No.1セッター!」
「あいつがコートにいる限り、試合の主導権は絶対尋人になる。
あいつのペースにのまれたらもう戻れねぇ。
それが"漆黒の帝王、神崎尋人"だ」
あいつってそんなにすごい人だったんだ。
中学生の中でもすごいとされてるテツさんがあれだけ褒めている人は初めて見た。
それにどうしてだろう。
騒がしいくらいの歓声があがってるはずなのに…
漆黒の帝王から目が離せない。