こいつ、俺の嫁。ーAnother my wife storyー



そうだ。
私の心はすでにあいつに"束縛"されている。



気付きたくて心のどこかに隠していたけど、長谷部先輩に言われてしまうと認めるしかない。



"彼の隣に立って歩ける人になりたい"

"かっこいいと思ってしまった"



そう思った時にはもう私の心はあいつに囚われている。



「未来ちゃんが何を怖がっているのか知らないけどさ、"このままでいい"なんて思っているとすぐ取られちゃうよ。

バレーだけじゃなくどのスポーツも攻めないと点は取れない。
恋愛だって同じ。想いを伝えなきゃ何も取れない」



チャンスは必ずやってくるはずだから。



長谷部先輩は目を丸くして固まる私にそう言い残してストレッチをやりにコートへ戻っていった。



聞いたことがある。
チャンスは誰にも平等にやってくるけど、チャンスの神様は前髪しかなくてすぐに掴まないと後から掴むことはできない。



「…そんなチャンス本当に来るの…?」



でも膝に顔を埋めれば香る彼の匂いに、チャンスがあれば掴みたいと思う自分もいるのは確かだった。


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