私の執事には謎が多すぎる ー 其の一 妖の獲物になりました
俺も肘を少し打ったが、痛みを堪え、目の前のドアを見据えながら立ち上がった。
「結界か?」
移動先は医務室の前の廊下。
恐らくこの医務室から光が放出されたが、強い結界が張ってあって弾かれた。
「厄介な結界だな」
念を込めて医務室のドアを拳で叩くが、熱いしビクともしない。
叩いた拳には軽い火傷ができていた。
多分肘にも火傷が出来ているだろう。
「尊、ひょっとしてここに姉ちゃんがいるの?」
琥珀も立ち上がり、俺を少しキョトンとした様子で俺を見る。
「多分な」
「尊、あの光は何なの?」
今度は隼人が質問してきて、俺は医務室を睨みつけながら返した。
「撫子に預けていた石が反応したんだ」
「石って、いつも尊がつけてたやつ?でも、赤鬼が襲いかかってきた時、闇色に光ってなかった?」
観察力がいいのか、俺は石のことを話して聞かせたことはなかったのに彼はその反応に気付いていた。
「ああ。だが、石を身につけている者が妖に襲われて命の危険にさらされた時、石は持ち主を守るために閃光のような光を放つ」
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