私の執事には謎が多すぎる ー 其の一 妖の獲物になりました
「でも……その身体では危険過ぎるよ」
「どうせ……もう死ぬんだもの。速いか……遅いかの……違い」
小さく笑う私の言葉に彼はコクッと頷いた。
「わかった」
紅玉くんはそっと私を抱き上げると、瞬間移動して尊の元へ運ぶ。
熱風を感じる。肌が焼けそうだ。
ひょっとしたら私も煌のように燃えて粉々になるかもしれない。
だけど、不思議と怖くなかった。
どんな姿をしていたって尊だもの。
私の特別な人だもの。
最後の力を振り絞って、正面から尊に抱きついた。
「尊……目を覚まして。このままでは……世界が壊れちゃう」
夢のように彼に微笑んだら、目が合った。
「撫子……?」
尊が驚いた顔で私を見る。
その顔でもう彼は大丈夫だと思うと同時に身体から力が抜けて……。
もうこれで私は死ぬんだって思った。
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