詩集 空色神話
愛と修羅

私が蕾であったころ

あなたが花盛りであったころ

頼りなかった宇宙は逆行の歴史を辿っていた

私たちが互いの思いさえ知らなかったころ

太陽は月の裏側を通り続けていた

進化する魚は クジラと泳ぐ海を夢に選んだ

私が捨てた腕時計 似合う人は居なかった

化粧を落とす女に魅力はなかった

生命は鏡合わせに存在していた

あなたに宿る魔性 私は恋焦がれた

懸想する才は花開くか 愛とジレンマ 魔物の雨

人は魔法そのもの

私が少女であったころ

あなたが花盛りであったころ

銀河に春の嵐が吹き荒れた


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