耽溺愛2-クールな准教授と暮らしていますー
[1]


「きゃっ、」

短い驚きの声が口から飛び出た。

一瞬のことで美寧は何が起きたか理解出来ない。
出来ることと言えば、もとより大きな瞳を更に大きく見開くことだけ。

「あなたはもう少しちゃんと自覚したほうがいい」

低く掠れた声が上から降ってくる。
見下ろす瞳が濡れたように光る。

倒れ込んだ瞬間、ほど良いスプリングが美寧の体を小さく跳ね上げた。

背中にはベッドの感触
視界の端には大きな本棚
部屋を照らすシーリングライト

住み始めてから数か月経つ今も、ほとんど入ったことのないこの部屋で、どうして自分はこんなことになっているのだろう。そんなに変なことを言ってしまったのだろうか。

ただ少し気がかりなことを口に出しただけなのに―――

「れい、」

戸惑いながら名を呼ぼうとしたが、彼の言葉がそれを妨げる。

「どれくらい俺があなたのことを想っているか―――それとも、言葉だけじゃ足りませんか?」

(それって、どういう……)

美寧がその疑問を口にするよりも、怜がその口を塞ぐ方が早かった。



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