オフィスラブはじまってました
休みなのに、わざわざ出勤するほどの用事でもなかったな。
そんなことを思いながら、アパートに帰ってきた檜村柚月は、隣の部屋の前にいた大家の澄子に、
「おや、お帰り。
ちょうどよかった。
いい子入れといたよ」
と言われ、にやりと笑われた。
いい子ってなんだ……と思っていると、澄子が、
「たまたま、その辺をぼんやりして、人の良さそうな、あんた好みの顔の子が歩いてたからさ」
捕獲しといた、と言う。
俺好みの顔って、なにが基準だ……と思っていたら、
「ほら、あんたんちの庭に今もあるちっちゃいとき座ってた椅子。
あれについてるキャラクター、あんた大好きだったろ」
と澄子は言い出す。
澄子と柚月は親戚だった。