オフィスラブはじまってました
「アパートの隣人で、同じ会社の部長の檜村柚月さん。
 檜村さんのお孫さんなんだよ」
とひなとが紹介すると、柚月が、

「お兄さんですか。
 いつも、ひなとがお世話になっております」
と言って頭を下げた。
 
 いや、逆……。

 普段から世話を焼いてくれているので思わず言ってしまったのか。

 付き合ってもいないのに、今すぐ結婚を申し込まないといけない雰囲気に動転しているのか。

 実は酔っていたのか、よくわからない。

「おお。
 そうかそうか。

 ひなとをよろしくな。

 ちょうどよかった。
 マグカップをチタンのに買い換えたから、前のをお前にやろうと思って持ってきたんだ」
と言いながら、秀治はリビングに入っていく。
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