オフィスラブはじまってました
「いや、待ってください。
 大家さんが知らないとかアリなんですか?」
とひなとは言ったが、澄子は、

「なに言ってんだい。
 基本、不動産屋に任せてるから知らないよ。

 細かいことは旦那がやってるし。
 私は此処に畑があるから、ウロウロしてて、あんたたちと顔見知りになってるだけさ。

 そういえば、あの部屋の住人は知らないねえ」
と言う。

「……ずっと此処から出ていけてないということは、ずっとハッピーエンドになれてないと言うことなんですかね?」

 その住人に、自分の未来の姿を重ね合わせてしまい、ひなとはちょっと怯えてしまった。





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