オフィスラブはじまってました



 土曜日、緒方は寺の仕事で実家に帰っていた。

 親に明日のことを念押しするためもある。

 一番下の弟が居間のテーブルに投げていた流行りの店なんかが載ってる雑誌を拾い、寝転がって読んでいると、別の弟が帰ってきた。

「なんだ、兄貴、来てたのかよ。
 じゃあ、俺、来なくてもよかったな。

 てか、珍し。
 そんな雑誌見ちゃって。

 いつもはチャラいとか言ってんのに」
と言いながら、座ってリモコンを手にテレビをつけている。

 緒方は顔を上げ、弟を見て言った。

「チャラいとは思ってるが、女は喜ぶかなと思って」

「へー。
 ますます珍しい。

 兄貴が女の人、喜ばせようとか思うなんて」

 鬼畜なのに、と勝手なイメージで弟は兄を語る。
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