オフィスラブはじまってました




 この人は何故、私に許可を求めているのでしょうか。

 初心者な私に、そんなこと訊かれても困りますし。

 初心者ではなくとも、いいですよなんて言うわけないではないですか。

 だんだんこのミノムシ、いや、寝袋に入った自分の形が、ちょっと初心者マークっぽく思えてきた、とひなとは思っていた。

「あ、あのですね。
 その、この間、結婚が決まったばかりですし。

 その、段階踏んで、ゆっくり進んでいきたいなーなんて」

 よく考えたら、妙なセリフだ。

 結婚が決まったばっかりなのにとか。

 うん。
 我々はいろいろと先走っている、とひなとは思った。

 なにかいろいろと順序が逆のようだ。

 いや、いきなり六月に結婚したいと言った私が悪いんだが、と思ったとき、柚月が言ってきた。
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