オフィスラブはじまってました




 アパートに帰ると、ちょうど夕暮れどきで、澄子が野菜を採りに畑に来ていた。

「澄子さん、ありがとうございました」
とひなとが頭を下げると、

「なんだい改まって」
と澄子は言う。

「澄子さんがおっしゃってた通り、ハッピーになりました。
 ……でも、私、此処、出て行きたくはないんですけどね」
と早速、庭で緒方たちと火をつけている柚月を見て、ひなとは言ったが。

 澄子は、
「別に出てかなくたっていいだろう。
 だがまあ、いずれ、アパートも狭くなるだろうからね。

 この畑、もう全面野菜作ってるわけじゃないから。
 後ろ側の土地をやるよ。

 あそこに家建てな」
と言う。
< 539 / 576 >

この作品をシェア

pagetop