オフィスラブはじまってました
「素敵ですね」
と澄子の家を想像しながら、ひなとが言うと、

「こういう家に住みたくて、住んでた教授と結婚したって澄子さん言ってたな」
と柚月が教えてくれる。

 い、家目当てですかっ、と思ったが、それだけでもないらしく。

 どうやら駆け落ち同然に結婚したようだった。

 澄子と柚月の祖母は、元華族だとかいうおうちのお嬢様だったらしい。

「そっ、それが何故、あんな感じに……」
と思わず言ってしまい、

「……ああっ。
 すみませんっ」
と慌てて謝る。

「いや、別にいいが。
 窓全開だぞ……」

 澄子さん、よくその辺通ってるぞ、と言われたが。

 いやいやいや。
 今の大家さんが悪いと言っているわけではないんですよ、とひなとは思う。

 何事にも動じそうにない、頼りがいのある感じが素敵だし。

 ただ、元華族のお嬢様が、泣く子はいねが~、になっていく過程が気になるというか。

 ひよこがニワトリになっていく途中の状態がどんな感じなのか、気になるのと同じかな……、と思いながら、

「ま、まあ、人生いろいろですよね」
とよくわからないまとめ方をしてしまった。





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