オフィスラブはじまってました
それから仕事をしていると、部長のデスクの電話が鳴りはじめた。
部長も課長も他の人もいない。
この電話、とっていいんだよね?
と思いながらも、緊張する。
「なにしてるんだ、早く取れ、新人!」
と力強い声がしたと思ったら、藤田だった。
伝票を手にした彼は経理部に行こうとして、たまたま通りかかったようだった。
「いや、あんたも新人……」
と言いながら、緊張のあまり唾を飲み込み、電話を取る。
「は、はい。
人事部です」
「企画部の檜村ですが」
と相手は名乗った。
「はい、お疲れ様ですっ」
と反射的に言いながら、
これ内線電話だよね?
こういうとき、なんて言ったらいいんだっけ?
外線電話の対応しか記憶がないんだが、とひなとは怯える。